PEOPLE登場
モキュメンタリー日和①
始まりました、渡會将士のファンクラブサイト、ワタラボ。
この名前は、もしも何かしらミスをやらかしても
「ラボ (実験室) だからさ、実験に失敗は付き物でしょ?」
などと言って誤魔化せるだろう、というゲスな発想、
もといリスクヘッジ的な閃きで名付けました。
だから誤字、脱字くらいは多目に見て頂きたい。
虚偽、捏造も、たまにはあるかもしれません。でもそれも、実験ですから。
時間を間違ったり、日付を間違ったりするのも実験です。いい言葉ですね、実験って。
もちろん今後は、試験管の中の薬物を爆発させてアフロになってみたり
プルトニウムを盗んでデロリアンをタイムマシンに改造したり
有毒ガスを散布して地域住民をみんなゾンビ化したり
粒子加速機を暴走させて街中にメタヒューマンを出現させたり
いろんな実験に取り組んでいきたいと思います。
……なんてゆうね、アメリカンコミックみたいなことは、もちろん起きません。
第一、うちのラボで研究してるのはもっとずっと些細なことです。
ほんと、凄く微妙で馬鹿馬鹿しいけど、うちのラボでは、一粒のイチゴを二粒にする実験をしてます。物体を複製する技術。
別に僕はイチゴなんて全然好きじゃあ無いんだけど、共同経営者で僕のフィアンセ、あぁ、元ね、元フィアンセのクロエがどうしてもイチゴがたくさん食べたいっていうからさ。
仕方なく始めた研究なんだ。
まぁ、彼女は2年前に急にイチゴが嫌いになって、出て行ったきりだけどね。
で、僕とラボの仲間達はその後も研究を続けて、一粒のイチゴを11個まで増やすことは出来るようになったんだけど、実験中にうっかりイチゴの培養液を頭から浴びてしまってね。
それ以来僕は11人に分身出来るようになった。
初めて自分の能力に気付いたときはゾッとしたよ。
朝起きたら自分がもう一人いて、間抜けな顔でいびきをかいてるんだからね。しかもイビキが相当うるさい。ショックだったなぁ。
このことをラボのみんなに話したら、まずはこの現象に名前を付けようってことになった。
研究員のみんなは忍者が大好きでね、「ザ・ニンジャ現象」とか「カゲブンシン・フェノメノン」とか、酷い名前が散々出た。
一時は「ナルト現象」という名前になりそうで、それはコンプライアンス的にアウトだろってことで、なんとか止めたよ。
最終的には助手のトモロウ君が「君はパーソン (一個人) だけど、複数に分裂出来る。だから、“ピープル”でどうかな」と言った。
ラボのみんなは、それってなんだか昔あったスイミングスクールみたいでウケるねってことで、それに決まった。
そして悪ノリした僕らはみんなで、防弾のスーパースーツを開発した。
1着が11着に増えるスーパースーツだ。まぁ、実際は全身タイツを切り離して11枚のブリーフにするだけのツギハギの服なんだけどね。
そんなわけで僕は11人に分身して、仲良く11枚の防弾ブリーフを履いたスーパーヒーローとして、
このアメリカ西海岸の小さな街、リトルトーキョーの平和を守ることになった。
そう、僕は「PEOPLE」
11人いる。
分身スーパーヒーローさ。よろしく。
次回、PEOPLE
「忍び寄らない悪、毎日が夏休み」
お楽しみに!